実験の被験者をやってたらタダで名古屋に行けた

 とある認知科学の実験に被験者として参加していたんだけど、その一連の出来事に区切りがついたので書いておこうと思う。

 きっかけは今年の4月に取っていた視覚科学という授業で、その第一回目の授業で共感覚について話されていたことだった。
共感覚というのは「文字などに色を感じる」現象のことで、共感覚のある人は割と珍しいとのことだった。授業の終わりにアンケートが配られて、共感覚のある人は実験に参加して欲しいので書いてくれると嬉しいと言っていた。
 文字に色を感じることは自分にとって普通のことだったからすごく戸惑ったのだけど、アンケートに共感覚に心当たりがある旨を書いて提出した。そうすると、実験に参加して欲しいとメールで連絡があった。実験がどんなのか興味があって面白そうだったから参加することにした。
 一回目に研究室に行くと、文字に対して常に同じ色を感じるかを測る共感覚のテストがあって、それにパスしたので共感覚者として正式に実験に参加することになった。
それから一ヶ月に一回くらい研究室に通って、暗室の中に入ってパソコンのディスプレイに表示される文字について感じる色をキーボードで選ぶ、といったようなことをずっとしていた。暗いところで明るいディスプレイを見てると、すごく目が疲れて結構大変だった。時給は割と良かったので、我慢したけど。

 そんな終わりの見えない実験を何ヶ月も続けてたんだけど、つい先月に他大学の人が来て、共感覚でも特殊な部類の能力があるから実験機材のある名古屋の研究所まで行って実験を受けて欲しいと言われた。交通費と日当が出て、実験も30分くらいで終わるらしいので、暇人の僕には断る理由がなかった。名古屋にタダで行ける機会ってなかなかないだろうし。
 それで、先月の30日に名古屋に行ってきた。行ったのは生理学研究所*1というところで、名古屋駅から電車で30分くらいの都会からは少し外れたようなところにあった。大きな施設で動物実験所とかがあって、地元の住民からは科学要塞と呼ばれてるらしい。
 下のリンクの画像のような装置に入って、暗い密室の中で実験を受けた。この装置に入ると頭が固定されて一人では抜け出せなくなる。この装置は液体ヘリウムを使っていて、年間の維持費だけで数千万円かかるらしい。この装置で、スクリーンに映る単語に対して脳がどのような反応をするかを脳磁場を測って調べるらしい。実験自体はすぐに終わった。
共同研究機器一覧/自然科学研究機構 生理学研究所

 引きこもりにとっては久しぶりの遠出で疲れたけど、名古屋駅できしめんを食べることだってできたし、名古屋駅の周辺を見物することだってできたから、とても満足した。味噌煮込みうどんを食べそこねたので、機会があったらまた食べに行きたいなと思う。